本日はコードバンケアについてご説明させていただきます。
コードバンとは
最初にコードバンという革なのですがカーフと違いきめの細かいツルンとした見た目。
皆様ご存じだと思いますが馬のお尻の皮ですよね。馬のお尻の皮のわずか2ミリのコードバン層だけを削り出すのは熟練した技術が必要と言われています。
コードバンはなぜ高い?
一言でいうと希少だからです。通常革製品は牛革が多いのですがそれは人間の食用として牛を使われているのが多く、それに対して馬を食用とする習慣のある地域は牛に比べてごく一部。
しかもどの馬にもコードバン層があるわけでもなく上記の通りそのコードバン層を削り出す作業が非常に難しい為希少価値を高めております。
馬1頭から取れるコードバンは一般的に50センチ×30センチ程度。なので大きな鞄よりは財布などの小物、パターンが細かくできる靴に使われています。
オールデンのコードバン
オールデンのコードバンはアメリカにあるホーウィン社というところの製品。日本においてかなりの人気があるのではないでしょうか?事実私のような靴修理の仕事をしているとお持ち込みいただく靴にはオールデンのコードバンシューズを多く目にします。
コードバンケアに使用するケア用品
- 汚れ落とし コロニル ライニガー
- クリーム サフィールコードバンクリーム
- アビーレザースティック
- 馬毛ブラシ
- グローブクロス
コードバンケア ステップ①
まずは紐を取ります。なぜ紐を取るかというと紐がついているとアイレット付近を綺麗に磨けないためです。
なぜ履きジワ(柔らかく屈曲する部分)から白く毛羽立つのか?
話が前後しますがコードバンの革は一般的にはコードバン層を一度バフかけをしてそれを再度寝かせるような作り方をされている為、曲げてしまうとそのバフかけしている革が戻ろうとするためそのような現象を起こします。
なので「コードバンケア=毛羽立ちを戻してあげる」と考えていただければわかりやすいと思います。
コードバンケア ステップ②
紐を外したら次は表面についているホコリを落としていきます。その際馬毛のブラシを使用。
なぜ馬毛のブラシがホコリ落としに最適かというと程よく柔らかく毛がしなってくれるので細かい隙間にも入りやすいためです。表面は勿論「コバ」と「アッパー」の隙間も入念に落としていきます。
コードバンケア ステップ③
次に表面の汚れを落とします。ここで注意したいのが汚れ落としの選び方。いろんなブランドから汚れ落としが販売されているのでどれを選べばよいかわからない!という方も多いと思います。
コードバンは水に弱い
オイル仕上げされたコードバンは非常に水に弱く、雨や汗で濡れてしますと繊維が膨張してしまい水膨れやシミになったりします。
なので水っぽい汚れ落としは使わないことをオススメします。当然ですが水っぽい汚れ落としのほうが向いている靴や革もあるのでそれ自体がだめということではないことはあらかじめお伝えしておきます。
ナイツブリッジがおすすめするのはコロニルの「ライニガー」。スプレータイプの汚れ落としで速乾性が抜群で革の内部まで浸透しないのでコードバンに限らずですがライトブラウン系の色のカーフの靴などにも安心して使えます。
使い方は簡単。スプレーを布にとり表面をなでるだけ。これを使ってしまうとかなり癖になります。
コードバンケア ステップ④
次にクリームを塗っていきます。クリームに関してはコードバンの特性を壊してしまう水っぽいクリームでなければ、特に「コードバン用」でなくても正直綺麗になります。
ナイツブリッジオススメはサフィールの「コードバンクリーム」かコロニルの「1909シュプリームクリームデラックス」。でも最初はコードバン専用の方が安心して使えるかもしれませんね。
クリームの塗り方
クリームはどうやって塗ればよいか?これも良く質問を受けるのですが薄く均一に塗れるのであれば特にルールはありません。ただ布に取るのはクリームを少々多めに使ってしまうことがありクリームがもったいないので、ブラシか指がおすすめです。今回は写真でわかりやすくように指にしておきます。
コードバンは元々ツルンとした仕上げになっているので比較的少量を全体に伸ばすことができます。
コードバンケア ステップ⑤
さてそしていよいよ次に登場するのがコードバンケアには欠かせないアイテム「レザースティック」。
レザースティックもいろんな種類がありますがナイツブリッジでは水牛の角を加工した「アビーレザースティック」を使用しております。
靴全体にこれを使用する必要はありません。
履きジワの毛羽立ちを寝かせてあげるようにゴシゴシと。レザースティック側にひび割れや凹凸が無ければ靴を傷つけることはまずありませんのでご自宅で行う際もご安心ください。ただしレザースティックの状態をよく確認してから行ってください。場合によっては傷が入ります。
ひたすらゴシゴシ。コードバンの職人になった気持ちで、革を鞣している気持で(言い過ぎ!)根気よく。
コードバンケア ステップ⑥
次にブラッシング。これにも特にルールはありませんが経験上最初は意外と馬毛のブラシの方が綺麗に仕上げられると思います。馬毛のブラシで円を描くようにクルクルと。通常の靴磨きでも使用する豚毛のブラシでもOKです。ブラッシングした後はヤギ毛の超柔らかブラシを使用しても可。
コードバンケア ステップ⑦
最後はグローブクロスでから拭きを。ブラッシングで終わらせる方もいらっしゃいますがそれでも勿論構いません。いずれにしても余分なクリームが残らないように、ブラッシングやクロスの跡も残らないようにできれば完成です。
これも好みですし特にルールはないのですがナイツブリッジではコードバンの鏡面磨きはオススメしておりません。インスタグラム等でコードバンを鏡面磨きされている方も多いのですが、コードバンは元々上品なつやのある革で鏡面磨きすると折角のその上品な風合いが消えてしまいます。
とはいえあくまでも一個人の意見ではあるので鏡面磨きに関してはご参考までに。勿論リクエストがあれば鏡面磨きもします。
ナイツブリッジではご配送も承っております。到着後お見積りのご連絡をさせていただきます。
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