イギリス靴の聖地であるノーサンプトンにで1890年に創業されたシューメーカーです。使用されている素材や工場の職人の技術の安定感は抜きんでたものがあります。
作家アーネスト・ヘミングウェイやウェルドレッサーとして着こなしなどに影響を与え続けているウィンザー公爵など、著名人からも多くの支持を得ている英国一のシューメーカーと言っても過言ではありません。
またそこまで多くない木型の数。よりトラディショナルな印象を受ける少々ぽってりとした202ラストや2003年に202の次世代ラストと言われている82ラスト。82ラストであれば202よりも細身にデザインされておりイタリア系のスーツに合わせても良し。よりスタイリッシュな木型となっております。
エドワードグリーンのディテール ~ヴィンテージスチール~
エドワードグリーン サイドからの見た目
今回ヴィンテージスチールの取り付けでお持ち込みいただいたのはエドワードグリーンの”カドガン”というモデル。フルブローグ仕様です。大きすぎず小さすぎない上品でかつ丁寧にブローキングされております。
どうしても靴のアッパーの表情から入る方がほとんどかもしれませんがサイドからの表情を見てみましょう。
よく見ると土踏まず部分のソールが薄くなっているのがおわかりでしょうか?殆どのシューメーカーが革底を均一の厚みで使用しているのに対しエドワードグリーンはフロントを厚く4.5ミリ前後、土踏まずからバックを3.5ミリ前後と底付けする前に加工されております。これ実はひと手間なんです。加工業者に一括して漉き加工をしているはずですが勿論費用と時間がかかります。
ヒールの積革は3枚。一枚が4ミリ弱とトップリフトはラスターヒール。これも実はエドワードグリーンならでは(採用しているメーカーもあります)。主流は1枚が5ミリ前後で2枚の積革とトップリフト。積革のその一枚一枚が大変目が詰まっており体重で凹みにくい。
エドワードグリーン ソールからの見た目
エドワードグリーンでアッパーの色が黒となるとほとんどのソールは写真のような「半カラス仕上げ」というライトブラウンと黒の組み合わせになっております。
アウトステッチはヒドゥンチャネルという手法で隠しよりドレッシーな装いに。また他メーカーがソールのコテを多くあしらっているのに対しエドワードグリーンの場合はシンプルな見た目。刻印もブランド名は入れずに「MADE IN ENGLAND」のみ。
ヒールの俗にいう「化粧釘」。この3点寄せ打ちもエドワードグリーン以外はありません。エッジとラバー部分からの距離は絶妙な位置。
エドワードグリーン ライニング
エドワードグリーンのライニングには写真のような「窓」があるのですが実は「窓なし」があるのはご存じでしょうか?長年エドワードグリーンを愛用されている方やヴィンテージシューズがお好きな方であれば見たことがあるかもしれません。「窓なし」は旧工場で生産されたモデルとなります。
中敷きのロゴデザインは頻繁に変わっている印象です。ここにも注目してみると年代ごとの良さがわかり面白いと思います。
エドワードグリーン 修理 ~ヴィンテージスチール~ 取付け
さて前置きが長くなりましたがヴィンテージスチールです。ヴィンテージスチールもここ数年で大きく変わりました。何が変わったかというと生産国とメーカー。もっと詳しく言うと微妙に形も違いますが金型の違いでしょう。気になる程ではありません。以前はフランス製のLULUというヴィンテージスチールでしたが今は廃盤となり日本に出回っているのは日本や韓国で作られているのがほとんど。勿論メリットもあり錆加工されているものもあるので以前より錆びにくくなっております。
ヴィンテージスチールQ&A
ヴィンテージスチールについてよくある質問をまとめてみた
- Q.メリットとデメリットは?
- A.メリットは言ううまでもなく耐久性。ゴムや革とは違い圧倒的に強い。そしてその見た目でしょうか。このデザインを好まれる方も多くいらっしゃいます。デメリットは慣れないうちは履いているときにカチカチと音がしたり人によっては滑るというお声も。ただ慣れてしまえばそこまで気にはならないはずです。
- Q.付けるタイミングは新品時と履きこんでからとどちらが良いか?
- A.どちらでも良いです。が、グッドイヤーウェルテッドシューズの場合新品時は靴が固く反り返りが少ないのでつま先から設置し革底が減りやすいのも特徴。ただある程度履きこめば反り返りが出てつま先が減りにくくなってきます。それを考えると新品時にヴィンテージスチールを付けてある程度反り返りが出てきたらラバーやレザーに変えるというのも理にかなった修理方法です。
- Q.履きこんでつま先が減っている状態でも装着可能か?
- A.可能です。つま先が減っている場合にはまず革を足し元のソールの厚みに戻した後にヴィンテージスチールを取り付けます。
- Q.ヴィンテージスチールの付け直しは可能か?
- A.可能です。修理屋さんによっては不可のところもありますがナイツブリッジでは問題なく付け直せます。
お持ち込みいただいた当日のお渡しも可能です。また、ご配送でも修理を承っております。修理代金税抜き10,000円以上で返送時の送料は無料とさせていただきます。
事前のお見積りはCONTACTよりお気軽にお問い合わせください。
エドワードグリーンの修理は吉祥寺の靴修理店ナイツブリッジを是非ご利用ください。
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