当ブログをご覧の皆様は靴好きの方が集まっていると思いますがN.TUCZEK(ニコラス・タックゼック)という靴はご存じでしょうか?現在最も入手困難な靴とも呼ばれており世界のビスポークシューメーカーが注目をしていた。

創業当初はボンドストリートにあった

本日はN.TUCZEK(ニコラス・タックゼック)についてのご説明と、キズ補修のご依頼があったのでご紹介いたします。

N.TUCZEK(ニコラス・タックゼック)とは

1853年にスロバキア出身の靴職人ニコラス・タックゼックによって創設。1863年にはロンドンに進出、1950年代まではジョンロブと並びシューメーカーの中の最高峰に位置しておりました。

使用する革、デザイン、丁寧にパンチングされたパーフォレーションやかなり少ない本数でよられた糸で細かく縫われたアウトステッチとファジング。

細かく縫われたアウトステッチ

美しいベベルドウエストからつながるカカトはこれもまた丁寧に1枚ずつ革を積み緩やかなピッチドヒール。正直ジョンロブのビスポークより上か?と思わせるような逸品。

美しいピッチドヒール

ジョージ・クレバリー氏が38年間もニコラス・タックゼックに勤めておりその技術はもはや言うまでもない。その後クレバリー一族が退職したのをきっかけに経営が傾き1970年に入るとジョンロブに買収されジャーミンストリートにあったお店は惜しまれつつも姿を消すこととなりました。

N.TUCZEK(ニコラス・タックゼック)キズ補修

さてここからが靴修理の話となりますが今回のご依頼はキズ補修。上記のとおり大変希少価値の高い靴となるため失敗は許されない感じで緊張感満載。。。しかも透明感のあるミディアムブラウンの色味なのでかなり難しそうです。

しかも傷が深く大きくえぐれてしまっております。綺麗になるのかどうか恐れずレッツトライですね。

なんとかかんとか綺麗になって一安心。茶色い革の質感はよく目を凝らしてみると茶の中に黄色い部分や赤い部分があり単なる1色ではないんですね。傷をフラットにするのも結構難しいのですが最後の着色も非常に難しい。単色にしてしまうとせっかくの美しい靴が台無しとなるのでできるだけ黄、赤を再現しつつ形にしていきます。

N.TUCZEK(ニコラス・タックゼック)吉祥寺靴修理 キズ補修 かかと つまさき

あえてリスクを言うと履きこむと染色した塗料が取れる可能性はゼロではありませんしキズ自体もよく見ると完全には消え切れてはおりません。それと色を再現するとはいえどうしてもベタっとした質感になることはご了承くださいませ。

キズ補修片足 3,300円税込(黒以外4,950円税込)納期1週間前後

ナイツブリッジでは配送でも承っております。修理代金税抜き11,000円以上で返送時の送料は無料とさせていただきます。事前のお見積りはCONTACT(お問合せ)からお気軽に。

お店までの行き方は↓